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「ニコニコ」なのか「ニヤニヤ」なのか

  • 代表
  • 2022年12月28日
  • 読了時間: 3分

以前の話です。


あるお客様の面接で、私ともう1名で面接を行ったところ、選考の最初から最後までずっと笑顔という候補者がいました。面接で自然に取り組めば、ずっと笑顔であるわけはなく、緊張状態の中で、たまに緩和の笑顔となることが多いです。そのため、ずっと笑顔であるというのは不自然であり、裏に理由があります。


ただし、この理由の捉え方で、プラスに捉えるか、マイナスに捉えるかが大きく変わってきてしまいます。


今回、もう1人の面接担当者はこの候補者について「ニヤニヤしていてちゃんと取り組んでいない感じがする」と、ネガティブな印象でとらえ、不採用の判断をしていました。選考において印象というのはもちろん大事ですが、それだけで決めるのは禁物で、印象以外の事実情報を積み上げて根拠を作り上げていきます。


例えば、ずっと笑顔という情報の他に


・姿勢が悪く、落ち着かない

・話し方に緊張感が無く、はっきりと言わないため、聞き取りづらい

・発言内容や態度などから、上から目線である


などの情報がつながると、「ニヤニヤ」という取り方で良さそうで、裏にあるのは、「きちんと取り組むのが嫌で、緩い方向にもっていきたい、斜に構えたい」という心理です。


しかし、今回の候補者の方は、


・姿勢が良く、最後までくずれない

・はっきりと話している。内容は端的。

・ただし、こちらの質問の内容理解をする力は弱め

・お辞儀、挨拶などを必要以上にしっかりやる。

・動きが硬い。などの特徴がありました。


これをまとめていくと、「自分で考えたりすることが苦手なので、マニュアルなどを型通りに行うことを一生懸命行っている」から、面接のときも必要以上に笑顔を絶やさないのではないか、と考えることができます。


そうすると、「ニヤニヤ」ではなく、作った「ニコニコ」と捉えるのが的確で、悪意は無い方ですという考えを伝えました。結果、「自分で考えて動くことは苦手だけれども、やるべきことやマニュアルが示されれば、それを一生懸命やってくれる安心感」が評価され、製造の仕事で採用されることになりました。


製造の仕事は、改善などで考えることももちろんありますが、基本的にはまず決められたことをその通りにやることが求められます。入社後は黙々と仕事に取組み、少し仕事を覚えるのには時間がかかりましたが、間に合わない場合は残業も厭わず何としても終わらせる姿勢で、職場の信頼を勝ち取っていきました。無事定着し、目立つ存在ではないですが、組織の基礎となってくれています。


今回のように意見が割れた中で、自分の仮説によって採用が決まっていくと、いつも大きな決断のプレッシャーに胃がキュッとなります。ですが、数年経過し、結果として良い採用となっていただくと、心からホッとします。


「笑顔」という1つの情報を、人によってはポジティブにとる人もいればネガティブにとる人もいます。選考として、どちらが正しい判断になるかは、出来る限り他の情報も集め、精度を上げていく必要があります。

 
 
 

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